各地から感染拡大を疑わせるような情報が届いているが、国内での新型コロナウイルス感染者の発生を公式に認めていない北朝鮮

当局は、先月1日から来月20日までの50日間の予定で、「超特級非常防疫措置」を行い、国民生活に様々な制限を加えている。もし本当に感染者がいないのならば、ここまでする必要はないように思えるが、医療インフラが極めて貧弱な北朝鮮で感染が広がれば、ひとたまりもなくやられ、体制の存続すら脅かされかねないのも事実だ。

そんな中でも、人々の営みは続いている。中国との国境に接する咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)に住むチョンさんは先月30日、ささやか結婚式を挙げた。コロナ禍の辛い暮らしの中でも、少しでも幸せを周りに分け与える。そんな式になるはずが、とんでもない不幸をばらまくはめになってしまったと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

20代後半のチョンさんは先月30日、結婚式を上げた。式には新郎新婦の家族以外にも親戚、人民班(町内会)の住民、職場の同僚などを招いた。

結婚式に客を呼ぶことは、コロナ前なら当たり前のように行われていたことだ。呼ばないとなると残念がる人がいるだろうとの心使いから、チョンさんは人数を最低限に絞って密かに招待した。

ところが、これがあっという間に郡党(朝鮮労働党穏城郡委員会)、安全部(警察署)に伝わり、金正恩総書記が自ら主導する国家防疫規定違反だとして大問題になってしまったのだ。昨秋、封鎖令(ロックダウン)が下され「野良猫狩り」という謎のコロナ対策を行うほど追い詰めれられた地域のお偉方は、今回の「結婚式事件」に激怒した。

ちなみに昨年7月、ある税関幹部一家がコロナ対策を破って「船上パーティー」を開いていたことが発覚。家長が見せしめで処刑された可能性がささやかれている。

郡党は、結婚式に参加した人が所属する工場、企業所、機関に対して「当事者に批判書を書かせて、思想闘争会を行って反省させろ」との指示を下した。自己批判を行った上で集団批判を加え、徹底的にはずかしめろということだ。

これだけでも心理的に相当な負担になるが、郡党は安全部を通じて参加者を処罰するとの方針を伝えた上で、こんな条件を示した。

「処罰を逃れたいのなら、国家建設に必要な物資解決のために支援を行え。それすら行わない者は、無条件で処罰する」

国が進める巨大プロジェクトの現場で働く労働者が必要とする食料品などの物資や資金を提供せよとのことだが、このような形で供出された金品が幹部らにより横領されることがしばしばあることを考えると、遠回しにワイロの要求をしたとも取れるだろう。

要求されたのは、豚肉10キロ、卵数十キロなど相当な量だが、恐怖に怯える人々は経済制裁、災害、コロナの三重苦で生活が苦しい中でも、これをどうにか納めている。しかし、中にはそんな経済的な余裕のない人もいて、処罰を震えて待つしかないような状況だ。

「事件の首謀者」となってしまったチョンさんの家族だが、要求された金品の上納とは関係なく、無条件で処罰される見込みだという。防疫規定の違反者に対して、過度に重い処罰が乱発されていることを考えると、不幸のどん底に突き落とされるようなことになるかもしれない。

北朝鮮の結婚式(朝鮮中央通信)


(出典 news.nicovideo.jp)